「演出家・俳優養成セミナー2022 演劇大学in筑後」広報部《D》報告
開催日程:2022年7月24日(日)~10月2日(日)
開催形式:
対面(サザンクス筑後:福岡県筑後市)+Zoom会議システムを使用したオンラインによるワークショップ
コーディネーター:和田喜夫
講 師:
永山智行、須川渡、上田美和、彌冨公成、岡崎賢一郎、小松原修、鯨エマ、齋藤豊治、上田聖子、川津羊太郎
シンポジウムパネリスト:
青柳達也、日下渚、たじま裕一、谷瀬未紀、当山彰一、永山智行
「演劇に触れるよろこび」
私たちは「演劇の世界を広げる」をテーマに、4つの講座と成果発表、シンポジウムを実施しました。
演劇大学in筑後全体を通じて、参加者がこれまで知らなかった演劇の可能性に出会えるような時間にしたいと企画しました。実行委員にとっても、刺激的な新たな発見と出会いに満ちた時間になりました。
オンラインで実施した<演劇発見講座――あしたの、「演劇」を考える講座>は、コーディネーターの和田喜夫さんとともに、受講生がそれぞれに演劇を捉え直し、その可能性を大きく広げる時間となりました。「まちと演劇」「教育と演劇」「社会包摂と演劇」をそれぞれテーマにとり上げた講座では、単発での視聴も受け付け、全国からご参加いただきました。講師の皆さんから知見に加えて、強いメッセージと思いも受け取りました。
長期演出永山智行さんが講師をされた<戯曲・演技講座――あしたの演技のための、生きた言葉に出会う講座・筑後編>は、対面とオンラインで計7回の講座を実施しました。筑後にお住まいの方に話を伺い、その方の人生の物語を脚色一切なしに受講生が成果発表で演じました。他者の物語に深く耳を傾け、その物語に俳優が全身で向き合う。「営み」と呼んだ方が相応しいこの創作から演劇の本質を再確認したように思います。
<演出講座――あしたの、「ミュージカル」の創り方>では、原作(小説)からミュージカルが出来上がっていくまでのプロセスを、齋藤豊治さんと上田聖子さんから3日間にわたって細かくお話を伺いました。今回の演劇大学では、地域の方々と演劇をしていくための内容を中心に開講しました。市民参加舞台としてミュージカルに取り組む公共劇場はありますが、ミュージカルの創り方を学べる機会はほとんどありません。受講生からは終了後も通年開講の要望が多く聞かれました。
<あしたも、読みたい名作戯曲>では講師の川津羊太郎さんと岡崎賢一郎さんが選ばれた名作戯曲を、講師と受講生でその魅力についてディスカッションしながら声に出して味わいました。数多ある戯曲の中から川津さんは「目」、岡崎さんは「若者」と、こだわった切り口で選んだ名作に触れる贅沢な時間でした。一見読みづらく思えた坪内逍遥翻訳『ロミオとジュリエット』は、声に出してみるとその言葉選びがたまらなく人間らしく思え、古典の豊かな世界を堪能しました。
シンポジウム「演劇の世界を広げる―まちと演劇―」では、九州全県から特色ある活動を展開されているパネリストの皆さんにご登壇いただきました。時間の都合で断片的なものになりましたが、ご登壇いただいた皆さまに多岐に渡る活動についてお話しいただきました。九州には多彩な活動をされている演劇人が多くいます。演劇とまちとの出会いの場を育み続ける皆さんが繋がることが、地域演劇の大きな力になると信じています。
今回の演劇大学は、終始、演劇に触れるよろこびが溢れた時間でした。演劇について深く思考する学びの場であったわけですが、ここでの出会い・繋がりが継続し、更に広がっていくことを期待しています。講師・関係者・参加者の皆さま、次回もまたお会いできましたら嬉しいです。
ありがとうございました!
報告者:松岡優子
(演劇大学in筑後 実行委員長)
▣ 演出家・俳優養成セミナー2022 演劇大学in筑後
<あしたの演劇>をつくりませんか?
皆さんのご参加をお待ちしています。