演劇大学inあきた・よこて2020 報告

~あきたで学ぼう、おウチからオンライン講座~

開催日程:
一部 2021年1月15日(金)~1月17日(月)
二部 2021年1月29日(金)~1月31日(月)

開催形式:
ZOOM会議システムを使用したオンラインによるワークショップ講座

秋田市にぎわい交流館AU)

講  師:
畑澤聖悟、鹿目由紀、大杉良、成井豊、日澤雄介

 秋田県横手市と秋田市に分散して開催する予定だった演劇大学inあきた・よこて2020は、会場を秋田市一か所に集約して、令和3年1月15日(金)からの3日間と、同29日(金)からの3日間の2週にわたって開催された。すでにオンラインで開催していた徳島、島根の演劇大学にならって、Zoomを利用したワークショップ形式を軸に、計画を仕切り直しての実施となった。

 秋田県内で過去5回にわたり開催してきた演劇大学は、高校、大学の演劇部員や若手劇団員など、次代の演劇を支えていく若い演劇人の底上げと、本格的な俳優、演出家の輩出を目的としてきた。毎回、名門演劇部が廃部になったり、高校そのものが統廃合で姿を消したりしていく秋田の現状に挑むような思いで開催を続けている。

 今回の講師には、高校演劇全国コンクールの常連で青森中央高校顧問の畑澤聖悟氏の演劇講座、若手演劇人に人気の成井豊氏の演劇入門、劇作家・演出家の鹿目由紀氏の劇作教室に加え、演出家大杉良氏による人気の朗読講座を開催した。演出家育成のコースでは、大館市の髙瀬奈穂子が、劇団チョコレートケーキの日澤雄介氏の指導を受けて成果をあげた。

 収穫は、北海道から沖縄までの全国から、のベ159人の受講者・見学者を得たことだった。特に徳島、島根の演劇大学参加者の再受講が多く、自宅から参加できる敷居の低さと、講座への人気の高さを示した一方で、早々と定員が埋まりかけ、開催地の高校の演劇部員があわてて大挙申し込むという事態もあった。講座が始まると、各地の方言や演劇スタイルの応酬が見られ、異文化交流が心地よい刺激となった。すでにリモートを行っていた開催地スタッフとの技術・情報交流と、相互の協力体制が実現したことも予想外の成果だった。

 リモートでの演劇講座は、当初苦しまぎれの形態と考えられ、開催地スタッフからも成果に疑問を持つ声が聞かれた。しかしこのたびに限っては、期待が低かったぶんだけ予想以上の成果を感じられたように思う。物理的に集合しないことで日程や経費を気にせずに全国から参加でき、日ごろ多忙な講師も時間をやりくりして講義できる。受講者は目当ての講師を無駄なくピンポイントで選ぶことができた。こうしたことから、講座への集中力が高まり、学びに深さと厚みが生まれた。加えて、生でなければなし得ない演劇のありようを、もう一度見つめ直す機会が得られたことも大きい。
 この後の、対面型講座が復活した演劇大学にあっても、遠隔開催の利点を生かしたオンライン講座の存続に大きな可能性を感じさせた開催となった。

報告者:高橋 純
(演劇大学inあきた・よこて2020 実行委員長)


演劇大学inあきた・よこて2020~あきたで学ぼう。おうちからオンライン講座~


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