国際年鑑 ダイジェスト版2020
韓国特集
香港特集
戯曲-3選-
国際演劇交流セミナー 2020年鑑
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「分断が進む世界の中で、国際部でできることは? 」国際部長 佐川大輔
やはり2020 年度の事業はコロナ抜きには語れません。国際部の事業は「国際交流」が主となります。演劇ですらままならないのに、対面型の国際交流は言わずもがな。具体的な苦労としては、企画の大幅変更、予算の見直し、不慣れなオンライン運営、そして、感染症への対策などなど。
まさに過大な制作負担でした。それでも実施したのは、とにかく「火を絶やしてはいけない」という思いだけでした。意地とも言えます。そんな中、無事に「韓国特集」、「香港特集」を行えたことは、協会の事務局、そして、実行委員の尽力が大きいです。また、各国の講師側にも多大な負荷をかけましたが、皆様、前向きに対処してくれました。そういう意味では、より密な関係を構築できましたし、良い国際交流にもなったといえます。更に、参加者の方もオンラインによる不慣れな運営を、温かく見守り、フォローをしてくださいました。改めて関係各位にはここで、お礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
韓国特集は、「最近の韓国との関係悪化を鑑み、民間の交流は必須」との思いで実施しました。今回は 3 人の講師に冒頭でのオンラインレクチャーをお願いしました。ソンさんには「過去の歴史を振り返りつつの協同作業」、クさんには「ハラスメントなどの社会問題の演劇化」、そしてパクさんには「演劇業界の活性化の事例」について。そして日本側のゲストとの対談を実施しました。昨今の韓国演劇界隆盛の秘密がわかる3 日間でした。
香港特集は、世界の目がコロナ一色の中、中国本土から香港への圧力が増している背景から、「香港特集はぜひやるべき」と決意しました。「オンライン実施でも相互交流をしたい」と講師と相談し、今回は「演出プランを考え、短い台本を発表する」というワークショップになりました。
さて、オンラインによる国際交流に挑戦したことで、新たな可能性も見えました。オンラインは、距離の壁を縮めやすいという発見です。コロナ禍は、世界の演劇人とこれを機に繋がろうという機運を自然に生み、実際に交流の幅は広がりました。また、参加者も日本各地、そして海外からも募ることができました。
また、事前の打ち合わせや、国際的な会議やシンポジウム、知識のシェア会などはオンラインのほうが都合がよさそうです。つまり、これからはオンラインで基礎的な関係を構築し、そのうえでより濃密な対面のやりとりを行うというハイブリッドな企画を考えていくことができるでしょう。
新型コロナウイルスは私達の生活や考えを世界レベルで変えています。ある種の革命かもしれません。アーティスト的に考えるなら、コロナは「人間を新たなステージに進化させる地球の贈り物」と考えるべきなのかもしれません。
東北の震災から10 年たちます。震災は日本の社会構造を変えるかと思いましたが、10 年たっても大きな好転や変革は残念ながら感じません。しかし、「コロナこそ、何かの変化の兆しにできるのではないか?」、「世界が共有できる課題であり、大きな変革のきっかけになるのではないか?」と考えたりします。「いや、コロナは世界中の問題をあらわにし、分断を生み出しているではないか」というのはごもっとも。だから、そんな夢想はどうなのかとも思うのですが、希望を持ちたいし、それがないと生きていくのは辛い。奇しくも2020 年の「韓国特集」、「香港特集」に共通する要素として、チェーホフの『三人姉妹』がありますが、そのラストのように、皆さん生きて、活動していきましょう。
編纂実行委員の皆様、ありがとうございます。どうか、この年鑑が読者の皆様にとって、活動の助けや刺激になることを願っています。
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韓国特集
日本演出者協会では演劇を通じての民間交流を実現するために1992 年「日韓演出家会議」から始まり、現在では国際演劇交流セミナーを開催しています。そういった意味でも、韓国との交流事業には協会として積極的に取り組んで来ました。2020年度は新型コロナウイルスにより、韓国からの演劇人の来日がかないませんでしたが、オンライン企画に移行して開催、下北沢と大学路(テハンノ)という両国の演劇の街をオンラインにてスタジオ形式で中継いたしました。日韓関係が揺らいでいる今、「互いのことを知る」という基本的な視点に立ち返り、「まず、語り合おう!」というキャッチコピーでの開催でしたが、オンラインの特性もあり、日本全国、また海外からの視聴があり、一定の意義を果たせたのではないかと思います。
韓国演劇界の「社会的事件を扱う演劇」(ク・ジャヘ 구자혜)、「日帝時代への翻案劇」(ソン・ギウン 성기웅)、「公共との関わり」(パク・チャンニョル 박장렬)に通じる 3 者によるレクチャーを開催。またレクチャーだけではなく、日本側ゲストとの対談をそれぞれ交えることで、韓国、日本における具体的な演劇界や社会の実状を知りつつ、発展や連携のための方法を探る企画となりました。
第 1 回は「社会に応答する演劇、演劇に応答する社会」と題し、ク・ジャヘ氏×安田菜津紀氏によるトークを開催。劇作家・演出家であるク・ジャヘ氏は自作解説を行いながら、自らの作風の変化をもたらした社会的変化について言及。フォトジャーナリストである安田菜津紀氏は愛知トリエンナーレでの「表現の不自由展」における政治的圧力の問題、また、フォトジャーナリズムの世界でのセクシャルハ
ラスメント・パワーハラスメントについて触れながら、日韓にわたる共通の議論の土台を探るトークとなった。冒頭には韓国演劇翻訳者の石川樹里氏から「韓国演劇界の現在のイシュー」を網羅的に紹介いただいたことが議論のイントロダクションとして効果的に機能したこと、また、2020 年度日韓リーディングでク・ジャヘ氏の『加害者探究』をリーディング演出する西尾佳織氏に司会を依頼したのは、さまざまな演劇事業を繋ぐという意味で重要であったことを付記しておきたい。
第 2 回は「演劇を通してみる戦時下・植民地下の日韓」と題し、ソン・ギウン氏+外村大氏によるトークを開催。劇作家・演出家であるソン・ギウン氏は近年では演出家・多田淳之介氏との共同作品において知られているが、ソン・ギウン氏がチェーホフやシェイクスピアを具体的にどのような手続きのなかで日帝時代に翻案をしているかが語られたのは非常に刺激的であった。歴史学者の外村大氏からは戦前・戦中においての演劇を通じての韓国と日本とのかかわり(交流という言葉は使いにくい)についての報告があり、これは日韓演劇交流事業の中で真っ正面から取り上げられることは稀なトピックであるだろう。おふたりの関心はフィクションと歴史学という違いはあれ、日本植民地下にある韓国の具体的な状況にある。トークの中で戦後直後に韓国にいた村山知義についての話題が盛り上がった。日本演出者協会初代会長の名前が、協会事業の中で久々に何度も語られたのではないかと思うと不思議なものだ。
第 3 回は「街と演劇」と題し、パク・チャンニョル氏×小川絵梨子氏によるトークを開催。パク・チャンニョル氏によるトークは、自らが演劇界の状況をどのように変革してきたのかという「運動」の具体的な実例紹介であった。小川絵梨子氏とのトークでは、小川氏から「長いスパンで考える」「積み重ねていくという感覚を養うこと」などの所感が話され、早急で短期的な変化だけを求めるのではない行動についての考えが示された。新国立劇場という組織での実践者としての「運動」の所感であり非常
に感慨がある。チケット制度や助成金システムに対するオルタナティブの提示は、さまざまな形で日本でも提案されているので、そのあたりの具体的な事例の提示が行えればまた違った面での交流になったかもしれない。
来年度以降、下北沢-大学路をスタジオ形式で繋ぐというかたちも利用しながら、日韓演劇交流セミナーは継続する予定であるとのこと。この記録がさらなる交流に繋がることを期待しています。
企画担当 川口典成
「 韓国を知り、日韓演劇の未来を探る 」
オンラインで日韓の演劇の街、下北沢 ― 大学路 を繋ぎます!
− レクチャー / 対談 −
本来は韓国から講師を招き、対面にて日本の演劇人との交流の場をつくることを目指していたが、新型コロナウイルスの蔓延により来日は厳しく、今回は、オンライン上に韓国の演出家との交流の場を作ることとなった。
韓国演劇界の「社会的事件を扱う演劇」(ク・ジャヘ)、「日帝時代への翻案劇」(ソン・ギウン)、「公共との関わり」(パク・チャンニョル)に通じる 3 名を招き、レクチャーを実施。また、レクチャーだけではなく、日本側ゲストとの対談を交えることで、日韓の演劇界や社会の実状を知りつつ、発展や連携のための方法を探った。
日韓関係が揺らいでいる今、「互いのことを知る」という基本的な視点に立ち返り、「まず、語り合おう! 」というキャッチコピーにて開催。
【in 東京】
会場:下北沢・アレイホール
【in 韓国】
会場:大学路・アシテジ韓国センターオフィス
A 「社会に応答する演劇、演劇に応答する社会」
11 月21 日(土)18:00 ~ 20:30
[講 師]ク・ジャヘ
[ゲスト]安田菜津紀
[司 会]西尾佳織
この回のセミナーでは、ク・ジャヘ氏がスケジュール的に30分ほど遅れる可能性があったため、石川樹里氏に最近10年の韓国演劇界のイシュー(問題)についてのレクチャーをお願いしました。ク・ジャヘ氏の作品や考え方を知る上で、前提的知識として重要と判断したからです。(実際には、ク・ジャヘ氏は予定時刻には到着されていました。)
>>>> 一部抜粋
講 師:ク・ジャへ / 구자혜
1982 年生まれ。劇作家、演出家。劇団「ここは当然、劇場(theater, definitely)」主宰。主に、社会で起き続ける惨事に演劇でどう向き合えばいいのかということを常に考えて作品作りに臨む。代表作品としては、芸術界での #MeToo 問題を扱った『加害者探求-付録:謝罪文作成ガイド』、セウォル号シリーズ『キリングタイム』、『commercial, definitely』、『倫理の感覚』、『シェイクスピアソネット』等がある。2018 年、クィア、女性、俳優、労働を扱った『演劇実験室恵化洞1 番地』がTPAM(Performing Arts Meeting in Yokohama)に招聘された。
ゲスト:安田菜津紀(フォトジャーナリスト)
1987 年神奈川県生まれ。NPO 法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)所属フォトジャーナリスト。同団体の副代表。16 歳のとき、「国境なき子どもたち」友情のレポーターとしてカンボジアで貧困にさらされる子どもたちを取材。現在、東南アジア、中東、アフリカ、日本国内で難民や貧困、災害の取材を進める。東日本大震災以降は陸前高田市を中心に、被災地を記録し続けている。著書に『写真で伝える仕事 -世界の子どもたちと向き合って-』(日本写真企画)、他。上智大学卒。現在、TBS テレビ『サンデーモーニング』にコメンテーターとして出演中。
B 「演劇を通してみる戦時下・植民地下の日韓」
11 月22 日(日)13:00 ~ 15:30
[講 師]ソン・ギウン
[講師+ゲスト]外村大
[司 会]川口典成
>>>> 一部抜粋
>>>> 「20世紀前半の日本の演劇と朝鮮・朝鮮人」(外村氏原稿)一部抜粋
講 師:ソン・ギウン / 성기웅
1974 年、大邱生まれ。劇作家、演出家。第12 言語演劇スタジオ主宰。
1999 年、東京外国語大学で1 年間交換留学。日本語を学び、平田オリザ、坂手洋二、柳美里などの戯曲を翻訳。松田正隆演出の『HIROSHIMAHAPCHEON: 二つの都市をめぐる展覧Seoul version』(2011)、野田秀樹作・演出の『半神』(2014)の演出協力、多田淳之介とのコラボレーション『가모메 カルメギ』(2013, 2014 日本上演)、『颱風奇譚』(2015)、平田オリザとの共同脚本・創作として『新冒険王』など。
ゲスト:外村大(歴史学)
東京大学教養学部・大学院総合文化研究科教授。1966 年生まれ。1988 年、早稲田大学第一文学部卒業、1995 年、早稲田大学大学院文学研究科中退、2002 年、博士学位取得。専門は日本現代史。近年は、プロレタリア演劇運動での日本人と朝鮮人の交流を研究している。著書・論文として、『朝鮮人強制連行』(岩波新書、2012 年)、「朝鮮民族にとっての一九三八年・新協劇団『春香伝』」(『在日朝鮮人史研究』第48 号、2018 年9 月)がある。
C 「街と演劇」
11 月22 日(日)18:00 ~ 20:30
[講 師]パク・チャンニョル
[ゲスト]小川絵梨子
[司 会]佐川大輔
>>>> 一部抜粋
講 師:パク・チャンニョル / 박장렬
1990 年、「演劇集団 反」を創立。純粋な演劇制作や現場のシステム作りに努める。2001 年、「演劇実験室・恵化洞1 番地」の第3 期同人として、『演出家デビュー展』を実施。2005 年、低予算演劇運動として「100 演劇共同体」を作り、低予算演劇運動を拡大。2010 年から2016 年まで、ソウル演劇協会の3、4 代会長を6 年に渡って歴任する。演劇における社会的な声の強化や国際交流に尽力する。2019 年、「大韓民国演劇祭(ソウル)」の芸術監督を務め、「大韓民国ネットウォーキングフェスティバル」を企画。演劇の未来性と地域性を広める。常に、演劇における現場性、社会性、持続性という3 つの哲学を重視している。現初代「慶尚南道道立劇場」芸術監督。
ゲスト:小川絵梨子(演出家)
1978 年生まれ、東京都出身。アクターズスタジオ大学院演出部を卒業。
演出作品に、『今は亡きヘンリー・モス』『ロンサム・ウェスト』『ヒストリーボーイズ』『RED』『ビューティー・クイーン・オブ・リーナン』『FUN HOME ~ある家族の悲喜劇』『マクガワン・トリロジー』『スカイライト』『熱帯樹』『WILD(ワイルド)』『タージマハルの衛兵』『じゃり』など。紀伊國屋演劇賞個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞ほか受賞。
<韓国特集>
韓国側コーディネート&通訳 洪明花
通訳 石川樹里
通訳補 A:金世一/ B:藤本春美
日本側コーディネート 川口典成
担当 川口典成/佐川大輔/広田豹/柏木俊彦
香港特集
「かの地に思いを馳せて」今回の香港特集は、国際部初のオンラインによる演出家向けワークショップ。そのため、慣れないことも多く、実行委員としての制作負担がかなりあったのは事実でした。更にコロナにより計画的な事前広報ができなかったこと、またオンラインでの国際交流ワークショップということもあり、参加者数は伸び悩みました。企画担当としては、どうなるかと不安ではありましたが、最終的には定員の12 名が集まってくれたことに感謝です。
講師はアンドリュー・チャン・ハンファイ氏。彼を知るきっかけは、2016 年マカオ特集の講師、フィリップ・チャン氏の紹介でした。マカオ特集は、演出家同士が語り合うブレインストーミング型だったのですが、「2020 年度も同様の形式を実施したい」と相談したところ、アンドリュー氏の名前が挙がりました。彼の劇団は中国では珍しいデバイジングで創作する集団なうえ、彼自身も香港の教育演劇の先駆者でもあります。今回のワークショップでは、時々日本語を交えながら、とてもフレンドリーに進行してくれました。また、日本のサブカルチャーにも精通し、我々ですら知らないアーティストや漫画の名前も出され、驚くことも多々ありました。
(余談ですが、最近、2000 年以降に活躍しているアジアの演劇人に出合うと、かなりの確率で、日本の文化に影響を受けていると感じます。アニメやドラマ、ゲームなど、日本文化がアジアに与えている影響の大きさに驚くとともに、先人の功績を未来に向けて引き継ぐという必要性も感じています)
ワークショップは、特に最終日の内容は興味深いものでした。参加者それぞれの「三人姉妹の翻案」を5 分ほどの台本としてプレゼンしたのですが、その切り取り方が多様性にあふれていました。ニューヨーク、愛媛、高知、福岡、大阪、更には香港からの留学生など、多様な地域、活動背景の人々が参加できたことはオンラインならではの恩恵でもありました。また、改めて古典の持つ包容力と、演出の仕事の奥深さに触れたように思います。加えて、各人のプレゼンに対して、アンドリュー氏が提案する演出アイデアは非常に豊富で、その発想力と見識の深さには驚かされました。
実は、彼と今回のワークショップの事前打ち合わせをした際、「今の香港は中国政府の圧力もあり、かなり注目されています。その点について触れることは可能でしょうか?」という質問をしました。すると、彼は「オンラインとはいえ、現在の香港情勢に対してコメントすることは非常にデリケートな問題です。できるだけ私の個人的な見解を語ることは避けたい」と答えて下さいました。厳しい状況の中で講師を引き受けて下さったことに感謝の思いでいっぱいです。また、セミナー中に通訳の方が香港のエピソードを語る際、思わず涙される場面がありました。香港人が今抱えている非常に多くの困難を肌を通して感じました。
一昨年、香港民主化運動の最中、かの地の若手演劇人と話す機会がありました。彼女曰く、「香港は今、親中派、民主派の真っ二つに分断されている。家の中でも、お爺さんたち古い世代と孫たち若い世代で対立し、口論になる」とのこと。また、演劇界でも政府に近い人とそうでない人がいるようでした。香港の主要劇団は助成金による運営が主となるため、恐らく大劇団の主宰は、劇団運営の必要上、非常に難しい立場なのではないかと想像しますし、今の香港にはそのような葛藤が沢山あるのでしょう。
今回は多くの地域から参加者が集いました。そして、『三人姉妹』という戯曲を通し、それぞれの背景で、それぞれの考えを語るという企画構図は、非常に有意義でした。私達はオンラインを通じて、多くの場所や人々に思いを馳せたのです。その過程で、私達は「ここではないどこか」を想像すると同時に、自分自身を見つめることになりました。『三人姉妹』における「モスクワ」のように。オンラインだからこそ、遠くに思いを馳せることができる。私はそこに「オンライン国際交流」の可能性を見た気がしました。
企画担当 佐川大輔
「 香港の今を知り、演劇で繋がる 」
− 香港 ⇔ 日本 を繋ぐオンラインワークショップ −
本来は香港から講師を招き、対面にてワークショプを行う予定だったが、新型 コロナウイルスの蔓延により来日は厳しく、今回は、オンラインでのワークショップ開催となった。
チェーホフの『三人姉妹』という共通のテクストをベースにして、講師が香港版に翻案した『香港三人姉妹』を下敷きに、「日本における三人姉妹」を思考し演出力の向上を図る企画。最終日には、参加者による「自身における三人姉妹」のプレゼンテーションを行った。
参加者と見学者は、日本全国および海外からと幅広く、オンラインの特性を活用したワークショップとなった。
【 in 日本 】会場:新宿・スタジオ
【 in 香港 】会場:香港・アリス劇場実験室(Alice Theatre Laboratory)スタジオ
12 月19 日(土)14:00 ~ 17:00
・講師とアリス劇場実験室の活動紹介
・講師の創作理念のシェア
12 月20 日(日)14:00 ~ 17:00
・講師による『香港三人姉妹』解説
・参加者からの質問とディスカッション
12 月21 日(月)19:00 ~ 22:00
・参加者が「日本とアントン・チェーホフの間はどんな関係があるのか」を発表
・各自が「日本の『三人姉妹』」というストーリーを紹介
12 月23 日(水)19:00 ~ 22:00
・参加者による創作シーンの朗読発表
・演出スタイルについてのディスカッション
・まとめ
講 師
陳恆輝 / アンドリュー・チャン ハンファイ
1970 年、香港生まれ。アリス劇場実験室(Alice Theatre… Laboratory)芸術総監督。香港舞台芸術アカデミー(HKAPA)演劇学科演出専攻卒業。 卒業公演『ヴォイツェック』で校内優秀演出賞受賞。代表演出作品は『カフカの七つの箱』『第三帝国の恐怖と貧困』『勝負の終わり』『ハムレット マシーン』『香港三人姉妹』『テンペスト』など。しばしば中国内陸、台湾、海外に招かれて演出する。2009 年『カフカの七つの箱』で「第十八回香港舞台劇賞」の最優秀演出賞(悲劇・シビア劇)及び「第一回香港小劇場賞」最優秀演出賞受賞。
2013 年『勝負の終わり』で「第五回香港小劇場賞」最優秀演出賞受賞。2018 年『香港三人 姉妹』で「第二十七回香港舞台劇賞」最優秀演出賞(悲劇・シビア劇)ノミネート。2017 年『香港三人姉妹』の台北公演で、台北フリンジフェスティバルで優秀作品賞受賞。その他、 エディンバラ・フェスティバル・フリンジや、両岸小劇場芸術フェスティバル(中国本土・ 台北共同フェスティバル)、台北関渡芸術フェスティバル、烏鎮演劇祭など、世界級のアー トフェスティバルに参加し、同時に様々な地域の芸術家と提携している。
<香港特集>
通訳 アンソン・ラム/インディー・チャン
担当 佐川大輔/柏木俊彦/インディー・チャン
戯曲-3選 –
『加害者探求』(韓国)
脚本 ク・ジャヘ/翻訳 洪明花
『外地の三人姉妹』(韓国)
脚本 ソン・ギウン/翻訳 石川樹里
『香港三人姉妹』(香港)
原作 アントン・チェーホフ『三人姉妹』
翻案・脚本 アンドリュー・チャン ハンファイ
翻訳 インディー・チャン
今回の「韓国特集」「香港特集」では講師の戯曲に関しての内容が多く、 編纂委員では戯曲の一部でも参考として掲載できないかと考えました。
作者のク・ジャヘさん、ソン・ギウンさん、アンドリュー・チャン・ハンファイさんにご相談しました。
幸いにも快諾のお返事を頂き、翻訳者にも快諾を頂き、 冒頭部分を掲載いたします。
提供して下さった作者、翻訳者の皆さまに深く深く感謝申し上げます。
この年鑑を読んで下さる皆様が、貴重な資料として目を通して下さることを心より願っております。
冊子には戯曲の一部が掲載されております。所蔵図書館にて閲覧が可能です。ぜひ手にとってご覧ください。
文化庁委託事業 「 2020 年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業 」
2021 年3 月31 日発行
発行人 佐 川 大 輔
編 集 一般社団法人日本演出者協会 国際部
柏木俊彦 前田有貴 和田喜夫
国際演劇交流セミナー2020 冊子編纂実行委員会
発 行 一般社団法人日本演出者協会 国際部
〒 160-0023 東京都新宿区西新宿 6 -12 - 3 0 芸能花伝舎 3 F
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