日本の戯曲研修セミナー2021 in 東海 報告

『新美南吉特集 』

【「新美南吉と童話」より 】

【「ラムプの夜」「<無題> 第一場 東京市郊外に 」「 一枚の葉書 」より 】

 愛知県知多郡半田町(現在の半田市)出身の児童文学作家、新美南吉にスポットをあて、ルチアと川村ミチル、女性二人の演出のもと、若手の育成を図り『ラムプの夜』『〈無題〉第一場 東京市郊外に』『一枚の葉書』の3本の戯曲と、童話『きつねのつかい』『こぞうさんのおきょう』『手ぶくろを買いに』を戯曲化した作品、詩『明日』を元にした作品に取り組みました。

 また、「みんなで創ろう!舞台~新美南吉~」と題したワークショップ、公開リーディングと、特別講演会「劇作家新美南吉」、「アフタートークショー」の各プログラムを通して、劇作家としての新美南吉を考えること、及び、演出、俳優、劇作の若手育成を目標としました。童話作家としての認知度が高い新美南吉の、劇作家としての側面を発見し、再度、その面からも彼の作品を再読、考察してみる価値があると改めて強く感じる、実り多い研修セミナーとなりました。

 開催予定であった企画、小学5年生~高校生までの一般参加者を募った2週に渡る対面講座「みんなで創ろう!舞台~新美南吉~」は、「まん延防止等重点措置」発令を受け、急遽Zoomでのオンライン講座・発表に変更実施し、小学5年生~高校生 計7名が参加。教育や将来を担う若手育成を狙い、講座を通して作品に対する理解や創造する喜びに加え、日に日に参加者の結束が見え、「創作」することによる「成長」が見られました。

 Zoom講座参加者や視聴したご家族の方から、

「ほんの6回だけの稽古でしたが、子どもが自分自身でも変化を自覚するほどに、すごく成長させてもらいました」

「多感な時期に入ってきているので、悲しみのテーマは本当に有り難かったです」

「『でんでんむしのかなしみ』という作品に何日もかけて、同じ年頃のみなさんと、一緒に向き合い、先生のご指導のおかげで、みんなが素直になれて、気持ちを共有できたようです」

「他の人の内側の悲しみを聞いたのは初めてで、みんなの悲しみを知ったことで、これから悲しいことや辛いことがあっても前を向けるようになると思う。知っているのと知っていないのでは全然違う」

「本を読んだだけでは、分からなかった悲しみが、お友だちや先輩から生の声を聞いて、演技を通して、実感していけました。本当に貴重な体験でした」

「地元の作家の新美南吉先生の作品を通して、演出家として、人に感動を与えるということの素晴らしさを教えてくださるばかりではなく、人生の先輩としてのお話も子どもの胸に響いていたようです」

などの感想、評価が寄せられました。

 新美南吉記念館館長から、

南吉が書いたほぼそのままのものから、童話を元に構成したものまで、さまざまな形で南吉の世界を演劇という形で味わうことができて感無量です。
ふじたあさや先生が「南吉の作品は散文、詩、戯曲などいろいろな形態があるが、その元には南吉のなかのドラマチックなものがある」といった意味のことを仰っていたと思いますが、南吉の世界を戯曲で表現しようとする今回の企画は、その意味で決して戯曲だけに狭く限定されない広がりを持っていたなと感じました。
講演会やアフタートークもとても勉強になりました。

との感想をいただきました。 研修後には記録DVDを作成し、協会員、出演者、ゲストに配布しました。

報告者:齋藤敏明
(「日本の戯曲研修セミナーin東海2021」実行委員)

【 特別講演会「劇作家 新美南吉」より 】

【 アフタートーク より 】


日本の戯曲研修セミナーin東海2021『新美南吉特集 』


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