第9回「伝統と現代研究会」 「伝統演劇を知る6」 ~「狐」をモチーフとする演劇の数々~参加者募集のお知らせ

伝統演劇には、現代の演劇を展開していく上で、豊かな題材、演劇的知、身体技法が秘められていて、まさに宝の山と言えます。 昨年末の日本演出者協会の理事会で、「伝統と現代研究部」の設置が認められ、本年から研究部としての活動を始めることになりました。これまでの皆様のご理解、ご支援、誠にありがとうございます。これからも多様で充実した企画を実施し、協会の活動により一層寄与出来ましたらと考えています。

 今回の第9回研究会では、「狐」をモチーフとした演劇の数々を取り上げます。能、狂言、歌舞伎、文楽などの日本の伝統演劇では、興味深いことに人間だけではなく、動物や植物、さらには鉱物の石にまで変身する豊かな演技術を保持しています。この回では、その中でも動物の、「狐」をモチーフとする多様な演劇の数々に注目し、比較研究を試みます。
  研究会では、実際の貴重な上演映像や音源を視聴しながら、参加者で自由に相互の比較やディスカッションを行います。普段あまり伝統演劇に出会うことのない方も、それぞれの特色、魅力、面白さを知るまたとない機会ですので、どうぞ奮ってご参加ください。

日 程  2025年3月31日㊊18:00-
会 場  アトリエそら(東上線 中板橋駅 南口5分)

参加費  500円(資料代など)
定 員  15名ほど(オーバーした場合は会場変更して対応)
参加申し込み方法 メールにて受付
norishigekawaguchi@gmail.com


能『殺生石』(せっしょうせき)/ 能『小鍛冶』(こかじ) 担当 今井尋也

能『殺生石』は、インド、中国を経て日本へ渡り、玉藻の前と称し宮中に入った狐の精が、企みが露顕し、退治され殺生石になるまでの有様を語る。一方、能『小鍛冶』では、剣を打てとの勅命を受けた三条宗近に、狐姿の稲荷明神が現われ、相槌を打って成就させる、霊験物。

狂言『釣狐』(つりぎつね) 担当 岡本章

狂言師が、『釣狐』の狐役を演じて初めて一人前と認められる重要な曲。一族の狐が次々と猟師に捕えられた老狐が、僧に化けて狐の祟りの恐ろしさを説き、一度は罠を捨てさせることに成功するが、最後は罠にかかり必死に逃げていく。

文楽・歌舞伎『芦屋道満大内鑑』(あしやどうまんおおうちかがみ)担当 篠本賢一

竹田出雲作。通称『葛の葉』として知られ、和泉国信田の森の白狐が、安倍保名と契って安倍晴明を生んだという、「信田妻伝説」を脚色した作品。全五段の原作のうち、四段目の「子別れ」が頂点になっていて、親子の情愛をテーマとする。

ふじたあさや『しのだづま考』担当 川口典成
オペラ『白狐』担当 角直之

ふじたあさや『しのだづま考』は、長らく民衆の間で伝承されてきた「信田妻伝説」を、説経節をもとに展開し、中西和久のひとり芝居として上演。またオペラ『白狐』は、1913年に岡倉天心が、「音楽のために書かれた三幕の妖精劇」として英語で執筆。こちらも「信田妻伝説」が基盤にあり、歌舞伎の要素をオペラに取り込んでいる。


「伝統と現代研究部」実行委員
今井尋也  岡本章  川口典成  篠本賢一  角直之  流山児祥  渡会りえ

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