特別鼎談:
長塚圭史×落合陽一×シライケイタ
「社会と芸術」
インタビュー
長塚 なんで、そうですって2回言うんだろう・・・。
落合 ジャスパーは、「そうです。そうです」っていうキャラクターになっていますね。
シライ・長塚 なってる(笑)
長塚 コンピューターに疎いから僕にはちょっと分からないんですけど、AI それぞれに個性っていうのはあるんですかね?
落合 個性をチューニングするのは最近の流行りです。入力の方法はさまざま。学習データを変えたり、事前に指令を出したり。
長塚 AIが真理に近いようなことを話していますね?
落合 これは、僕が真理に近いような話し方をする文章を入れたからですね。
シライ これ、敵わんな・・・。俺は朝まで書いて1行も進まなかったのに・・・。
落合 文章のトーンとかも割と決めることが出来ます。重要なのは情報的なプロセスは高速なのですが、それと同じロボットを作るとすると、熱力学的限界があるし、物理法則を越えられない。しかしこの物理世界は環境の応答速度も充分に遅いし、人間の認知バイアスがボトルネックになるし、大人は思い出に勝てない。
コンピュータは十分に高速な進展を遂げながらも、人間社会にまつわるそれ以外の情報的プロセスは随分高速に進むので、楽しいことが起こっているなって思いながら作品を作っていますけど。
シライ 人間が将棋でAI勝てない様に、文章も勝てない?
落合 勝てないと思います。
シライ スピードは勿論勝てないと思うんだけど・・・。これ、演劇やばくないですか?
落合 大丈夫ですよ。皆さんが一日に2百本の台本を書くって事になるわけですから。
シライ そうか、そう考えれば良いのか。
落合 そう考えるだけでモチベーションが全然違うんです。
シライ 俺が書いてるって思えば良いんだ。
落合 そうそう。僕は、先週500曲は作曲しましたから。
シライ これを俺が書いてるって思えるもんですか?
落合 はい。基本的にDJだと思えば。
シライ なるほど
長塚 入り口は、作家が作っているわけだよね。
落合 お膳立てはしていますね。
シライ マジで欲しいかも(笑)
落合 これは、今使ってたのはノーベルAIっていうオープンサービスなので誰でも使えます。ちゃんと動くのは英語限定だけど。日本語のプロトタイプも公開されていますが。英語でも今みたいに日本語翻訳をしてあげれば良いと思います。
シライ これに手を出したら、何かが変わっていく気がする・・・。
落合 自分が直角に上り始める瞬間がある。技術進化速度と同じだけ文章が書ける(笑)
シライ でも、俺じゃないってならないかなぁ。
落合 メディアアートをしている僕からすれば、あんまり変わらないですね。道具は常に変わり続ける。
長塚 凄いな・・・。最近、中野信子さんがAIで作った絵画っていうのを見て、それも凄いなって思った。